
まいど!華波です!
今回の七十二候短編小説は、
ちょっと、急に『他人の飯には骨がある』の台本の抜粋を貼りますね。
(前略)
ジェレミア「殊勝ですね」
パティ「リグルドの骨折もあっという間に治したそうだな、お手なみ拝見といこうか。どうした、見られているとやりにくいか。ほら、目をつぶっていてやる。」
ジェレミア「……」
パティ「暇だな、喋るぞ。第1章「黄金の仔リス団」設立秘話。「黄金の仔リス団」それは22名(変動あり)の魔法が使える構成員と、56匹の黄金のしっぽを持つリスで構成された組織である。水や火など、ライフライン系の魔法使いや、農業、林業、酪農などの職人系の魔法………(後略)
の、ところの、
黄金の仔リス団誌を作ろうって時のお話です!!!
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では、以下。
★
七十二候
乃東枯(なつかれくさかるる)✖️団員カール(『他人の飯には骨がある』)
★
「はあ、歴史書ですか」
「そんな大層なものじゃない。ただ、ここらへんで一度、まとめておくのもいいだろうと、」
カールと呼ばれるその男は、動揺した時の癖ーーー、
人一倍大きな鼻をつまむ、を繰り返しながら聞き返した。
「それを、おれが?」
「ああ、まあ、お前はそれなりに古株だし、俺より読み書きも得意だし、いつか作ろうとは思っていたんだが、なあ、お前、」
やってみないか?
栄誉ある自警団、黄金の仔リス団を束ねる団長にしては、珍しく歯切れの悪い物言いである。
カールとしては、人払いまでして私室に呼び出されたので、いよいよ団を追い出される覚悟できたのだが。
「パトリシア殿、それは、」
「なんだそれ、ジェレミアの真似か」
「そうです」
「カール、お前なあ」
「それは、命令ですか」
その問いには、存外はっきりと目を見て「違う」と返ってきたので、
それに満足したカールは鼻をひとつまみしてから「やりましょう」と答え、部屋を出た。
===
「黄金の仔リス団の成り立ちや活動、決まりについてをまとめた本を残す」
歴史書かと尋ねたら、歴史はともかく、団員間の規律、入団条件や罷免条件などを明記したものを残したいとのことだった。
団長当人としては、団体としては一代限り(リスのこともあるので)のつもりらしいが、
それにしても、現状、ルールなしで突き進むには団員を抱え過ぎている。
あの懐かしい有象無象の寄せ集め集団の時代は終わった。
確かにここから先は、規律の明記もないまま進むのは危険だろう。
「おれなら、確かに、」
やりたいかどうかの希望はともかく、確かにおれならできるだろう。
そう、希望するかはともかく。
過去を振り返るのは得意ではない。
記憶はしている。だが過ぎたことや、昔のことをウジウジと掘り返して何が面白い。
おれたちは、今日明日のことで精一杯のはずだろうにと、思い出話にすら、憤りにも似た感情が湧いてくる。
つい先日も、それで団員同士で喧嘩を繰り広げた。
酒の席とはいえ、若い団員に大怪我を負わせた。
体格ではあちらが圧倒的に優位だったはずが、こちらが上の立場だったというだけで、遠慮をしたのだと、思った。
最悪だ。状況が、ではなく、最悪なのは、おれだ。
だから今日は、クビになるつもりで出向いたら、これである。
「あーあ」
外に出てすぐのベンチに腰掛け、空を仰いでそう叫んだ。あーあ。これ以上、何か言うことがあろうか。
団長が、絞りに絞って出した、おれの謹慎方法がこれなのだろう。
頭に血が登りやすい割に身内に甘い彼の、精一杯の皮肉だ。
「そんなに言うなら、やってやるか」
しばらくは部屋にとじこもって、大人しく過去でも振り返るか。
団も、自分も、未来だけを見るには、自覚しているより多くの時が過ぎ去り過ぎたのだと。
ベンチ脇に植えてあった花も、すっかり枯れてーーーーー、
「何してるんだい」
枯れた花を一心不乱にかき集めて、束にしている男がいた。
街の中央部にあるレンガ壁の雑貨屋の店主だという。
「これ、薬花なので。新鮮なうちに積んで干しておいてもいいけど、自然に枯れたのがね、一番、効能がある。あ、ウツボグサっていうんですけど」
長くなりそうなので、鼻をひとつまみして失礼した。
こっちはこっちで、枯れたなりに一旗上げるところなので。
★
じゃあ、また。次回!!!
ジェレミア「彼、少々うるさいですが素晴らしく細かい仕事をしますね」
パティ「な、あいつが一番向いてただろ」
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